
この記事のポイント
- 自分の学習スタイルと目的を明確にして、最適な勉強法の本を選ぶ
- 科学的根拠・実践性・目的適合性の3つを基準に本を選ぶ
- 記憶術から問題解決力まで、目的別10選で効率的な学習が実現できる
勉強法の本を読む前に知っておくべきこととは?
勉強法に関する本は数多く出版されていますが、どの本を選ぶべきか迷ってしまう方も多いでしょう。効果的な勉強法の本を選ぶためには、まず自分自身の学習の進め方や目的を明確にすることが重要です。
自分の学習スタイルを把握する
勉強法の本を読む前に、まず自分がどのような進め方を好むのかを考えてみましょう。
例えば、次のような好みの違いがあります:
- 図や表、色分けで整理しながら覚えたい
- 音読したり、耳で聞いたりして覚えたい
- 実際に手を動かしながら覚えたい
好みの進め方が分かると、本を選びやすくなります。例えば、図で整理したい方には図解が豊富な本、耳で覚えたい方には音声教材と連動した本がおすすめです。ただし、「自分のタイプに合った方法で学ぶと成績が上がる」という考え方は、研究では裏付けられていません。好みは本選びの手がかりにとどめ、効果が確かめられている方法(分散学習やテスト効果など)と組み合わせましょう。
本選びの3つのポイント
効果的な勉強法の本を選ぶ際は、以下の3つのポイントを意識しましょう。
1. 科学的根拠があるかどうか
学習心理学の研究をまとめたレビュー(Dunlosky et al., 2013)では、「分散学習(間隔を空けて復習する方法)」と「テスト効果(思い出す練習をする方法)」が特に有効性の高い学習法と評価されています。こうした方法が含まれている本を選ぶとよいでしょう。
2. 実践的な内容が含まれているか
理論だけでなく、具体的な実践方法が詳しく説明されている本を選びましょう。手順や期間が具体的に示されている本は、実践に移しやすいといえます。
3. 自分の目的に合っているか
資格取得、大学受験、語学習得など、自分の学習目的に特化した内容が含まれている本を選ぶことで、より効果的な学習が可能になります。

【記憶術・暗記法】おすすめの勉強法本3選
記憶力向上や効率的な暗記法を身につけたい方におすすめの本をご紹介します。
『読んだら忘れない読書術』樺沢紫苑
精神科医の樺沢紫苑氏が、読んだ内容を記憶に残すための読書術を紹介した本です(サンマーク出版、2015年)。本を読んだあとに内容を人に話す、感想を書くといったアウトプットを重ねることで、記憶に残りやすくなるという考え方が中心になっています。
『脳が認める勉強法』ベネディクト・キャリー
ニューヨーク・タイムズの科学記者であるベネディクト・キャリー氏が、記憶と学習に関する心理学の研究を紹介しながら執筆した学習法の本です(ダイヤモンド社、2015年)。従来の「集中して長時間勉強する」という常識を覆す内容が話題となりました。
本書の特徴のひとつは「忘却の力」を活用した学習法の提案にあります。エビングハウスの忘却曲線理論(時間経過とともに記憶が失われる現象を数値化した理論)を発展させた内容です。適度な忘却が記憶の定着に重要な役割を果たすことを科学的に説明しています。
また、「場所を変えて勉強する効果」についても詳しく解説されています。同じ内容を異なる環境で学習することで記憶の手がかりが増える実証研究の結果が紹介されています。
『東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート』東大ケーススタディ研究会
東大ケーススタディ研究会による、コンサルティング会社の採用面接などで出される「ケース問題」を題材に、問題を整理して解決策を考える力を鍛える本です(東洋経済新報社、2010年)。副題にあるとおり、50のフレームワーク(考え方の枠組み)を使って、複雑な問題を「地図化」して整理する方法が紹介されています。暗記とは別に、筋道を立てて考える力を伸ばしたい方に向いた一冊です。

【時間管理・効率化】おすすめの勉強法本3選
限られた時間で学習効果を高めるための時間管理術や効率化のテクニックを学べる本をご紹介します。
『学びを結果に変えるアウトプット大全』樺沢紫苑
精神科医の樺沢紫苑氏による、学習効果を最大化するアウトプット技術の集大成です。本書では「インプット:アウトプット=3:7」の黄金比率が提唱されています。この比率で学習することで記憶定着効果の向上が期待できるとされている勉強法本です。
具体的なアウトプット方法として、以下の手法が詳しく解説されています:
- 書く:手書きメモ、要約、感想文の効果的な書き方
- 話す:他人への説明、音読、独り言の活用法
- 行動する:学んだ内容を実際の行動に移す方法
問題演習や人への説明など、アウトプットの比重を増やしたい方に向いた一冊です。
『1440分の使い方』ケビン・クルーズ
アメリカの起業家ケビン・クルーズ氏が、億万長者やオリンピック選手、成績優秀な学生、起業家などへのインタビューをもとに、時間の使い方の考え方をまとめた一冊です。タイトルの「1440分」は1日24時間を分単位で表現したもので、時間の貴重さを改めて認識させてくれます。
本書の核心は「To-Doリストをやめて、スケジュールに時間をブロックする」という考え方です。従来のタスク管理ではなく、重要な活動に対して具体的な時間枠を設定することで生産性の向上が期待できるとされています。
学習に応用する場合、「英語の勉強」ではなく「月曜日19:00-20:00 TOEIC Part5の問題演習50問」のように、時間と内容まで決めて予定に入れると実践しやすくなります。
『最短の時間で最大の成果を手に入れる 超効率勉強法』メンタリストDaiGo
心理学と脳科学の知見を活用した効率的学習法を提案するメンタリストDaiGo氏の代表作です。本書では「アクティブラーニング(能動的な学習方法)」「インターリービング学習(複数の学習内容を混合して学ぶ方法)」「分散学習」など、科学的に効果が実証されている学習テクニックが網羅的に紹介されています。
また、「マルチタスクの弊害」についても科学的根拠とともに説明されています。学習効率を最大化するためのシングルタスク実践法が具体的に示されている勉強法本といえます。

【集中力・メンタル】おすすめの勉強法本3選
学習において集中力の維持とメンタル面の管理は重要な要素です。ここでは、集中力向上とメンタル強化に役立つ本を3冊ご紹介します。
『自分を操る超集中力』メンタリストDaiGo
メンタリストDaiGo氏による集中力向上の本です。本書では、集中力を「ウィルパワー(意志力)」という有限のリソースとして捉え、その効率的な使い方と回復方法を解説しています。ただし、意志力を有限な資源とみなす考え方(自我消耗)は、23の研究室による大規模な追試(Hagger et al., 2016)ではほぼ再現されていません。
集中力向上のための具体的なテクニックとして、以下の方法が詳しく紹介されています:
- 環境設定:机の上を片付ける、スマートフォンを視界から外すなど
- 時間配分:集中力のピーク時間帯(多くの人は午前中)を活用する方法
- 休憩法:瞑想、軽い運動、自然観察などのリフレッシュ技術
特に「ポモドーロ・テクニック」の応用として、個人の集中力特性に合わせた時間設定の方法が実践的に説明されています。
また、集中力を阻害する要因として「決断疲れ(多くの選択をすることで疲労する現象)」の概念が紹介されています。日常の些細な選択を減らすことで学習への集中力を温存する方法も詳しく解説されています。
『やる気に頼らず「すぐやる人」になる37のコツ』大平信孝
目標実現の専門家である大平信孝氏による、行動力向上のための実践書です。本書の特徴は「やる気」という不安定な感情に頼らない点にあります。システムと習慣によって継続的な行動を実現する方法を提案している勉強法本です。
本書では、「やる気」に頼らずに行動を始めるための具体的なコツが紹介されています。行動を始めやすくする方法としては、次のようなものがあります:
- 10秒アクション:行動開始のハードルを極限まで下げる技術
- if-thenプランニング(「もし○○なら、△△をする」という条件付き計画法):状況に応じた自動的な行動を設計する方法
- 環境デザイン:行動しやすい環境を事前に整える方法
学習に応用するなら、「教科書を開く」「問題集の該当ページにしおりを挟む」など、勉強を始めるための準備を前日に済ませておくのも一つの方法です。
『マインドセット「やればできる!」の研究』キャロル・S・ドゥエック
スタンフォード大学心理学教授のキャロル・S・ドゥエック氏による、学習におけるマインドセットの重要性を解説した名著です。本書では「固定マインドセット」と「成長マインドセット」という2つの思考パターンについて詳しく説明されています。
固定マインドセットは「能力は生まれつき決まっている」と考える思考パターンです。一方、成長マインドセットは「能力は努力によって伸ばせる」と考える思考パターンを指します。著者は長年の研究をもとに、成長マインドセットが学び続ける姿勢につながると主張しています。ただし、その後の研究をまとめた分析(Sisk et al., 2018, Psychological Science)では、マインドセットと学業成績の関係や、マインドセットを育てる取り組みの効果は小さいと報告されています。
本書では、成長マインドセットを育む具体的な方法が紹介されています:
- プロセス重視の褒め方:結果ではなく努力や過程を評価する
- 失敗の捉え方:失敗を学習機会として活用する方法
- 「まだ」の力:「できない」を「まだできない」に変換する思考法
この勉強法本は、特に長期間の学習に取り組む方や、挫折しやすい方に向いた一冊です。学習への向き合い方そのものを変革する内容と言えます。

【資格・受験対策】おすすめの勉強法本
資格取得や受験勉強に役立つ学習法を学べる本をご紹介します。
『独学大全』読書猿
匿名ブロガー「読書猿」氏による、独学のための包括的なガイドブックです。本書は単なる勉強法の紹介にとどまりません。学習に関する哲学的な考察から具体的なテクニックまで、独学に必要なあらゆる要素を網羅した決定版といえる勉強法本です。
学ぶ意欲や時間の確保から、学ぶ内容の探し方、読み方や覚え方まで、独学を続けるための55の技法が順を追って紹介されています。資格試験の勉強を独学で進める方にとって、学び方そのものを見直す手がかりになる一冊です。

勉強法の本を活用するコツ
優れた勉強法の本を読んでも、それを実際の学習に活かせなければ意味がありません。これらのコツを実践することで、読書の投資効果を高められます。
実践しながら読む
勉強法の本は「読むだけ」では効果が限定的です。最も重要なのは、読みながら実際に試してみること。本を読んで「なるほど」と思っても、実践しなければ自分に合うかどうか判断できません。
効果的な実践方法として、以下のステップをおすすめします:
- 1章読んだら1つ試す:章ごとに1つの技法を選んで実際に試してみる
- 1週間継続する:新しい方法は最低1週間続けて効果を判定する
- 記録をつける:学習時間、集中度、理解度などを数値化して記録する
小さく試して記録を残すと、自分に合うかどうかを判断しやすくなります。
また、実践する際は完璧を求めず、「まずは形だけでもやってみる」という姿勢が大切です。例えば、ポモドーロ・テクニックを試す場合、最初は25分間集中できなくても構いません。タイマーを使って時間を区切る習慣から始めれば十分です。
自分に合う方法を見つける
勉強法の本に書かれている方法がすべて自分に適しているとは限りません。個人の学習スタイル、生活リズム、性格特性によって、効果的な方法は大きく異なります。重要なのは、複数の方法を試した上で、自分に最も適した方法を見つけること。
自分に合う方法を見つけるためのチェックポイント:
- 継続しやすさ:無理なく続けられるかどうか
- 効果の実感:学習効率や理解度の向上を感じられるか
- ストレス度:その方法を実践することでストレスを感じないか
- 時間効率:限られた時間で十分な効果が得られるか
例えば、朝型の人には早朝学習が効果的です。しかし、夜型の人が無理に朝早く起きて勉強しても、かえって効率が悪くなる傾向があります。自分の生体リズムや性格特性を考慮して、最適な学習法を選択することが重要です。
また、複数の方法を組み合わせることも有効です。「集中力向上のテクニック」と「記憶定着の方法」を同時に活用するなど、相乗効果を狙った組み合わせを試してみるのもよいでしょう。
継続できる環境を整える
どんなに優れた勉強法も、継続できなければ効果は得られません。継続のためには、学習しやすい環境を整えることが不可欠です。環境には物理的環境と心理的環境の両方が含まれます。
物理的環境の整備:
- 専用の学習スペース:勉強専用の場所を確保する
- 必要な道具の準備:文房具、参考書、タイマーなどを手の届く場所に配置
- 誘惑の排除:スマートフォンやテレビなど、集中を妨げるものを遠ざける
- 快適な温度・照明:集中しやすい環境条件を整える
心理的環境の整備:
- 学習仲間の存在:一緒に頑張る仲間や相談できる人を見つける
- 目標の明確化:具体的で達成可能な目標を設定する
- 進捗の可視化:学習の進捗を記録し、成長を実感できるようにする
- 適度な息抜き:ストレス発散や気分転換の方法を用意する
特に「学習仲間の存在」は重要で、同じ目標を持つ人たちが集まる環境では、モチベーションを保ちやすくなります。
また、環境は一度整えて終わりではありません。定期的に見直しと改善を行うことが大切です。季節の変化や生活リズムの変化に合わせて、最適な学習環境を維持していくことをおすすめします。
まとめ:あなたに合った勉強法の本を見つけよう
目的別におすすめの勉強法本10冊をご紹介しました。記憶術・暗記法、時間管理・効率化、集中力・メンタル、資格・受験対策の4つのカテゴリーに分けています。それぞれ実践に移しやすい本を選びました。
重要なのは、どの本が「最も優れている」かではありません。あなたの学習スタイルや目標に「最も適している」本を見つけることです。文部科学省が推進する「個別最適な学び」の観点からも、一人ひとりに合った学習方法を見つけることが重要とされています。
勉強法の本を選ぶ際は、以下のポイントを思い出してください:
- 自分の好みの進め方と、勉強の目的を把握する
- 科学的根拠があり、実践的な内容が含まれている本を選ぶ
- 自分の目的(資格取得、受験、スキルアップなど)に特化した内容を重視する
- 読むだけでなく、実際に試しながら自分に合う方法を見つける
- 継続できる環境を整えて、長期的に取り組む
自分に合った学習方法を見つければ、限られた時間でも成果につなげやすくなります。
今回ご紹介した本の中から、まずは1冊を手に取って実践してみてください。そして、継続的な学習のために、集中できる環境を整えることも忘れずに。こうした学習環境づくりも、勉強法と同じくらい大切です。
あなたの学習がより効率的で充実したものになることを、心から願っています。
よくある質問
Q. 勉強法の本を選ぶときに、最も大切なのは何ですか?
A. 本を選ぶ際は3つのポイントが重要です。1つめは、科学的根拠があるかどうか、2つめは、実践的な内容が含まれているか、3つめは、自分の学習目的に合っているかです。これらを意識することで、より効果的な勉強法の本を選ぶことができます。
Q. 自分に合った勉強法の本を見つけるには、何から始めればよいですか?
A. まず、自分が好む進め方(図で整理したい、音読して覚えたい、手を動かして覚えたい など)と、勉強の目的を整理しましょう。好みは本選びの手がかりになりますが、それに合わせるだけで成績が上がるという研究の裏付けはないため、分散学習やテスト効果など効果が確かめられている方法を扱った本もあわせて選ぶのがおすすめです。
Q. 記憶力を向上させるにはどのような勉強法がおすすめですか?
A. 記事で紹介した『読んだら忘れない読書術』では、読んだ内容を人に話したり書いたりしてアウトプットすることで、記憶に残しやすくする方法が紹介されています。また『脳が認める勉強法』では、時間をあけて復習する「分散学習」や、思い出す練習をする「テスト効果」など、研究で効果が確かめられている方法が紹介されています。
Q. 勉強するときに長時間集中して勉強するべきですか?
A. 長時間続けることより、時間をあけて繰り返すことが大切です。この記事で紹介した『脳が認める勉強法』でも、少し忘れかけたころに思い出す復習の組み込み方が、研究をもとに紹介されています。
Q. 記事では何種類の勉強法の本が紹介されていますか?
A. この記事では、目的別に10冊の勉強法の本を紹介しました。記憶術・暗記法3冊、時間管理・効率化3冊、集中力・メンタル3冊、資格・受験対策1冊となっており、各カテゴリーで自分の目的に合った本を選べます。
※本記事内の統計・数値・データは記事公開時点の情報です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
参考サイト
集中できる学習環境を探している方は、新宿の自習室もご覧ください。24時間利用可・半個室ブース中心の自習室です。
→ アイデスク新宿自習室の詳細
※情報は2026年9月時点。最新情報は公式サイトでご確認ください。

