「定期テストで80点を取ったのに、通知表の評定は3だった」——こんな経験をした中学生は少なくありません。合否に直結する内申点なのに、「とにかくテストで高得点を取ればいい」という思い込みで対策が終わっている生徒が多い。点数と評定がかみ合わないのは、内申点の仕組みを知らないまま勉強しているからかもしれません。
公立高校の入試では、当日の学力検査と並んで調査書(内申書)の評定が合否を大きく左右します。制度は都道府県により異なるため、以下の説明は一般的な枠組みを示します。必ず自分の都道府県の公式サイトで確認してください。
この記事では、内申点の仕組みから観点別評価の構造、科目別の定期テスト対策、いつから動き始めるべきかまでを順に整理します。認知科学の研究が示す「効果的な学習法」も交えながら、今日から実践できる形でまとめました。
この記事のポイント
- 内申点は定期テストの点数だけでなく、提出物・授業態度・観点別評価の3軸で決まる
- 認知科学の研究では「問題を解く練習(検索練習)」と「間隔学習」が定期テスト対策として最も効果が高いと示されている
- 都道府県によって中1・中2の内申が入試に反映される割合が異なるため、早期からの対策が合否に直結する
公立高校の内申点とは?仕組みと評価の基準
「内申点」という言葉は日常的に使われますが、正式には調査書点と呼ばれ、中学校の通知表に記載される各教科の評定(5段階)を集計したものです。都道府県や高校によって計算方式が異なるため、まず基本構造を把握しておくことが対策の出発点になります。

調査書点(内申点)が入試に占める割合
公立高校の入試選抜では、学力検査(当日試験)と調査書点(内申点)の2つが主な評価軸です。その配分比率は都道府県ごとに定められており、差が大きいのが特徴です。
東京都教育委員会の選抜要項によると、都立高校一般入試の比率は学力検査点7:調査書点3が原則です。一方、内申点の比重がさらに高く設定されている都道府県もあります。各都道府県の教育委員会が毎年度の入試要項を公式サイトで公開しているため、受験する地域の公式情報を必ず確認してください。
いずれにせよ、内申点が合否に影響する割合は決して小さくありません。当日の学力試験だけで挽回しようとするよりも、日常的な評定を積み上げる戦略が合格率を高めます。
5段階評定はどう決まるのか:観点別評価の構造
文部科学省が定める学習指導要領に基づき、中学校の各教科の評定は3つの観点から構成されています。現行の3観点は、中央教育審議会初等中等教育分科会「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」(令和元年1月)に基づいて整理されたものです。
- 知識・技能:教科の基礎的な知識や技術を習得しているか
- 思考・判断・表現:学んだことを使って問題を解いたり、考えを表現できるか
- 主体的に学習に取り組む態度:自ら学ぼうとする姿勢や継続的な取り組みがあるか
これら3観点をA・B・Cの3段階で評価し、その組み合わせから5段階の評定が算出されます。国立教育政策研究所「指導と評価の一体化のための学習評価に関する参考資料(中学校)」(2020年版)でも、観点別評価の考え方が詳しく示されています。
定期テストの点数は主に「知識・技能」と「思考・判断・表現」に反映されますが、「主体的に学習に取り組む態度」は授業中の様子や提出物の状況から評価されます。つまり、テストで満点を取っても、提出物を出さなければ評定は5にならないことがあります。
定期テストの点数だけで内申点は上がらない?見落とされがちな評価ポイント
テストの点数と通知表の評定がずれる原因の多くは、観点別評価の「主体的に学習に取り組む態度」にあります。この観点は目に見えにくい分、対策が後回しになりがちです。
提出物・ノートの質が評定に与える影響
提出物(ワーク・レポート・課題)の提出状況は、「主体的に学習に取り組む態度」の評価に直結します。未提出が続くと、テストで高得点を取っていても観点の評価がCになり、テスト点数にかかわらず評定が4にとどまることがあります。
ノートについても同様です。ただ写すだけでなく、授業中に気づいたことや疑問点を書き込んだノートは「思考・判断・表現」の観点でも評価されることがあります。具体的には、先生が「ノートを回収して確認する」授業では、余白のメモや自分なりの整理が評価の材料になります。
提出物は「期限内に・完成させて・丁寧に」出すことが基本です。内容の質よりも、まず期限と完成度を優先してください。
なお、国際的な学習評価研究(McMillan, 2001)でも、成績評価にはテスト点数だけでなく学習態度・提出物・授業参加度といった多面的要因が影響することが確認されており、日本の内申制度における「主体的に学習に取り組む態度」観点と共通する知見が示されています。
授業態度と主体的な学習姿勢の評価のされ方
「主体的に学習に取り組む態度」は、授業中の挙手や発言だけを指すわけではありません。文部科学省の評価指針では、自分の学習を振り返り、改善しようとする姿勢も含まれています。
具体的に評価につながる行動として、以下が挙げられます。
- 授業中に先生の問いかけに対して反応する(頷く・メモを取る)
- グループ活動や発表で積極的に役割を担う
- テスト返却後に間違いを振り返り、自己評価シートや学習記録に記入する
- 提出物に「わからなかった点」「もっと知りたい点」を書き添える
授業態度の評価は担当教員の裁量が大きい部分もあります。それでも「学ぼうとしている姿勢」を形として残せば、評定の底上げにつながります。
定期テストで得点を伸ばすための学習計画の立て方
定期テストで点数を上げるには、勉強量よりも「いつ・何を・どの順番でやるか」の設計が先です。認知科学の研究が示す学習効率の知見を取り入れると、同じ時間でも定着率が大きく変わります。
テスト3週間前からの逆算スケジュール
時間を分散させて繰り返す「間隔学習(スペーシング)」は、一夜漬けより長期記憶に大幅に優れることが示されています。Cepeda et al.(2006)のメタ分析で実証された知見です。この知見をテスト対策に当てはめると、3週間前からの逆算スケジュールが有効です。
| 時期 | やること | 目的 |
|---|---|---|
| 3週間前 | 出題範囲の確認・教科書通読・ワーク1周目 | 全体像の把握・苦手箇所の発見 |
| 2週間前 | ワーク2周目・苦手単元の集中練習 | 定着の強化・弱点補強 |
| 1週間前 | 過去問・類題演習・間違い直し | 本番形式での練習・最終確認 |
| 前日 | 苦手箇所の最終確認・睡眠優先 | 記憶の定着(睡眠中に固定される) |
1週間前から詰め込み始めるパターンは、短期的な点数には繋がっても、次のテストには残りません。3週間前から動き始めることで、間隔学習の効果を最大限に引き出せます。
科目ごとの優先順位の決め方
全科目を同じ比重で勉強しようとすると、時間が足りなくなります。優先順位を決める基準は2つです。
1つ目は「現在の評定との差」。評定3を4に上げた場合の合計点の伸びは、評定4を5に上げた場合と同じ1点です。ただし評定3の科目が複数あるほど、まとめて底上げできる余地が大きくなります。2つ目は「積み上げ型かどうか」。英語・数学のように前の単元を理解していないと次に進めない科目は、苦手が蓄積する前に手を打つ必要があります。
Dunlosky et al.(2013)の大規模レビューでは、蛍光ペンでの下線引きや再読は学習効果が低く、「練習テスト(問題を解く)」と「分散学習」が高効果と評価されています。勉強時間の使い方として、教科書を読む時間よりも問題を解く時間を多く確保することが、得点向上につながります。具体的には、ワーク1問を解く時間を優先して確保するだけで、前述の分散学習の効果をより高めることができます。
どの科目から手をつけるべき?科目別の定期テスト対策
公立高校入試を見据えると、科目ごとの特性に合わせた対策が評定向上に直結します。積み上げ型の科目と暗記型の科目では、効果的なアプローチがまったく違います。科目の特性を理解したうえで対策を立てると、限られた時間を無駄にしません。

英語・数学:積み上げ型科目は早期着手が基本
英語と数学は、前の単元を理解していないと次の単元が解けない「積み上げ型」の科目です。テスト直前に詰め込んでも、基礎が抜けていれば点数は伸びません。
英語では、単語・文法・長文読解の順に優先順位を置きます。単語は毎日一定量を繰り返す間隔学習が定着に効果的です。数学は、公式を覚えるだけでなく「問題を解いて公式を使う」練習を繰り返すことが得点につながります。Karpicke & Blunt(2011)の研究では、読んで覚えるよりも問題を解いて思い出す「検索練習(問題を解いて記憶から引き出す練習のこと)」の方が長期的な記憶定着に優れることが実証されています。
数学の場合、テスト範囲のワークを目安として複数回繰り返すことをおすすめします。1周目で解法を確認し、2周目で自力で解き、最後に時間を計って仕上げる流れが効果的です。
理科・社会:範囲を絞った暗記と理解の組み合わせ
理科と社会はテスト範囲が明確に区切られるため、範囲内の知識を確実に身につけることが得点への近道です。ただし、暗記だけに頼ると「なぜそうなるのか」を問う問題で失点します。
理科では、用語を覚えるだけでなく「原理・仕組み」まで理解することが「思考・判断・表現」の観点にも直結します。たとえば光合成を覚えるなら「なぜ光が必要なのか」「どこで起きるのか」まで説明できる状態を目指します。社会は、年号・人名・地名を単独で覚えるより、「なぜその出来事が起きたか」という因果関係で覚えると記憶に残りやすくなります。
演習は一問一答形式のカードや問題集を使い、答えられなかった問題だけを繰り返す「弱点集中型」が時間効率を高めます。

国語・実技4科目:軽視しがちな科目の得点戦略
国語は「なんとなく読めばわかる」と思われがちですが、定期テストでは教科書の本文・漢字・文法が出題の中心です。授業で扱った本文の内容理解と漢字の書き取りを確実に仕上げるだけで、安定した点数が取れます。
実技4科目(音楽・美術・技術家庭・保健体育)は、テスト対策が後回しになりやすい科目です。しかし内申点への影響は5教科と同等で、実技4科目はすべて5段階評定が付きます。評定が低いまま放置すると、総合的な内申点を大きく引き下げます。
実技科目のテストは授業内容からほぼ出題されるため、授業プリントや配布物を整理しておくだけで対策の大半が完了します。実技の実演(演奏・作品制作等)は日頃の授業への取り組みが評価されるため、授業中の参加姿勢が評定に直結します。

内申点を上げるためにいつから対策を始めるべき?
「中3になってから本格的に動けばいい」と考えている生徒は、都道府県によっては取り返しのつかない状況に陥ることがあります。内申点がいつの評定を使うかは、受験する都道府県の制度によって大きく異なります。
中1・中2の内申が影響する都道府県の違い
公立高校入試で使用する内申点の対象学年は、都道府県によって異なります。主なパターンは以下の3つです。
- 中3の評定のみ使用:東京都教育委員会の選抜要項によると、都立高校一般入試では中3の9教科の評定を使用
- 中1〜中3の評定を使用:埼玉県教育委員会の公式サイトで確認できる通り、中1・中2・中3の評定を合算した調査書点が入試に使われるパターン
- 中2・中3の評定を使用:一部の都道府県で採用されているパターン。神奈川県については神奈川県教育委員会の公式サイトで対象学年を必ず確認してください
たとえば埼玉県では、埼玉県教育委員会の公式サイトに掲載されている選抜基準によると、中1・中2・中3の評定を用いた調査書点が入試に使われます。この場合、中1の1学期からの評定がすべて積み重なるため、早期対策が合否に直結します。自分が受験する都道府県の制度を、必ず教育委員会の公式サイトで確認してください。

中3の1学期が特に重要な理由
なお、調査書に記載する評定の締め切り時期は都道府県によって異なります。多くの都道府県では中3の1学期末時点の評定が調査書に使われますが、必ず各教育委員会の公式サイトで確認してください。中3の2学期以降に頑張っても、調査書には反映されないケースがある点には注意が必要です。
中3の1学期は部活動の引退・修学旅行・文化祭準備など行事が重なる時期でもあります。それでも定期テストと提出物の管理を崩さないことが、内申点を維持するうえで欠かせません。
逆に言えば、中3の1学期が終わるまでに評定を上げておければ、その後の受験勉強は学力試験対策に集中できます。内申点の締め切りを意識したスケジュール管理が、受験全体の戦略を左右します。
内申点対策チェックリスト
- 自分の都道府県の内申点算出方式(対象学年・科目・計算方法)を確認した
- 定期テスト3週間前から逆算スケジュールを立てている
- 提出物を期限内に・完成させて提出している
- 授業中の姿勢(メモ・発言・グループ活動への参加)を意識している
- 実技4科目のテスト対策も5教科と同等に行っている
- 問題を解く練習(検索練習)を再読より優先している
まとめ:今日から始める内申点向上の3ステップ
3軸の構造は冒頭で整理した通りです。行動の優先順位を一言で以上から、——まず提出物を期限内に出す、次にテスト対策の方法(問題を解く練習・間隔学習)を変える、最後に授業態度を意識するという順に手をつけると崩れにくいです。
定期テストの勉強法については、認知科学の研究(Karpicke & Blunt, 2011; Cepeda et al., 2006; Dunlosky et al., 2013)が一貫して示しているように、「問題を解く練習」と「間隔をあけた分散学習」が効果的です。認知科学の研究が一貫して示すように、問題を解く練習と分散学習を組み合わせることが定期テスト対策の核心です。
いつから始めるかは、受験する都道府県の制度によって変わります。中1の評定が入試に影響する地域なら、早ければ早いほど有利です。まず自分の都道府県の教育委員会公式サイトで制度を確認し、そこから逆算して動き始めてください。
いきなり全部に手をつける必要はありません。「提出物を期限内に出す」「テスト2週間前から問題演習を始める」——この2つが定着すれば、内申点は動き始めます。
計画を立てても自宅では集中できないという声は少なくありません。静かな学習環境を外に確保することも、習慣を継続するための現実的な選択肢です。
集中して勉強できる環境を探している方には、静かな環境で24時間利用できる自習室も選択肢のひとつです。新宿西口徒歩3分のアイデスク新宿自習室は、半個室ブース18席(パーテーション+背面カーテン付き)とオープン席を備えた全21席・Wi-Fi&電源完備で、定期テスト前の追い込み期間にも活用されています。
内申点・定期テストに関するよくある質問
Q. 内申点は何教科の評定で計算されますか?
A. 公立高校入試では、原則として9教科(国語・数学・英語・理科・社会の5教科+音楽・美術・技術家庭・保健体育の実技4教科)の評定が使われます。9教科×5段階で最高45点が基本ですが、都道府県によっては実技科目の評定を2倍にして計算するケースもあります。詳細は受験する都道府県の教育委員会公式サイトで確認してください。
Q. 定期テストで何点取れば評定5になりますか?
A. 評定5の基準はテスト点数だけでは決まりません。観点別評価の3つ(知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度)がすべてAに近い状態が必要です。テストで90点以上を取っていても、提出物の未提出や授業態度の問題があると評定が4にとどまることがあります。テスト点数・提出物・授業態度の3つを同時に整えることが評定5への道です。
Q. 中1の成績は公立高校入試に関係しますか?
A. 都道府県によって異なります。東京都立高校の一般入試では東京都教育委員会の選抜要項により中3の評定のみ使用しますが、埼玉県など中1から中3の3年間の評定を合算する都道府県もあります。受験する都道府県の教育委員会が毎年度の入試要項を公式サイトで公開しているため、早めに確認することをおすすめします。
Q. 実技科目(音楽・美術など)の内申点を上げるにはどうすればいいですか?
A. 実技科目は授業中の取り組み姿勢が評定に大きく影響します。演奏・制作などの実技評価は日頃の授業参加が前提になるため、まず授業を真剣に受けることが基本です。筆記テストについては、授業プリントや配布物を整理して出題範囲を確認し、用語と仕組みを押さえることで得点を安定させられます。実技4科目の評定が低いと内申点全体を引き下げるため、5教科と同等の意識で取り組むことが内申点向上につながります。
Q. 提出物を出し忘れた場合、内申点への影響を挽回できますか?
A. 未提出が観点別評価の「主体的に学習に取り組む態度」をCにする原因になるため、影響は小さくありません。気づいた時点で担当教員に相談し、遅れてでも提出することが先決です。その後の提出物を期限内に完成させて提出し続けることで、学期末の総合評価に反映される可能性があります。一度の未提出で評定が確定するわけではないため、すぐに立て直す行動が肝心です。
※本記事の情報は2026年7月時点のものです。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
最終更新: 2026年7月30日
参考サイト
- 文部科学省 — 中学校学習指導要領
- Karpicke, J.D., & Blunt, J.R. (2011). Retrieval Practice Produces More Learning than Elaborative Studying with Concept Mapping. Science, 331(6018), 772–775. https://doi.org/10.1126/science.1199327
- Cepeda, N.J., Pashler, H., Vul, E., Wixted, J.T., & Rohrer, D. (2006). Distributed practice in verbal recall tasks: A review and quantitative synthesis. Psychological Bulletin, 132(3), 354–380. https://doi.org/10.1037/0033-2909.132.3.354
- Dunlosky, J., Rawson, K.A., Marsh, E.J., Nathan, M.J., & Willingham, D.T. (2013). Improving Students’ Learning With Effective Learning Techniques. Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. https://doi.org/10.1177/1529100612453266

