高校入試制度改革・複数校志願が2028年度に解禁される理由

高校入試制度改革・複数校志願が2028年度に解禁される理由|高校入試制度 改革 複数校志願 2028年度 教育・学び

中学3年生の子を持つ保護者から、最近こんな相談が増えています。「公立高校も複数受けられるようになるって本当ですか?」——この変化は2028年度を目標に現実味を帯びてきました。複数の高校に同時出願できる制度の導入が検討されており、中学生とその保護者、受験指導に携わる方々にとって無視できない変化です。

この記事では、高校入試制度改革の概要から、複数校志願が検討される背景、受験生への影響、そして今から取り組むべき準備まで、公的機関の発表をもとに整理します。制度の詳細はまだ検討段階にある部分が多いため、必ず居住する都道府県の教育委員会公式サイトで最新情報をご確認ください。

この記事のポイント

  • 2028年度を目標に、公立高校入試で複数校への同時出願を認める制度改革が検討されています(確定情報は各都道府県教育委員会公式サイトをご確認ください)
  • 少子化による定員割れ問題と大学入試改革との整合性が、改革議論を後押しする主な要因です
  • 都道府県によって対応状況に差があり、先行事例を知ることが受験戦略の参考になります

2028年度の高校入試制度改革とは?

公立高校の入試は長らく「1校だけ受験できる」という一本化の仕組みで運用されてきました。2028年度改革では、この前提が大きく変わる可能性があります。まず現行制度の課題を確認し、改革の全体像を把握しましょう。

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現行制度のしくみと「一発勝負」の課題

現在の多くの都道府県では、公立高校の一般入試において出願できる学校が原則1校に限られています。合格すればその高校に進学し、不合格なら私立高校や二次募集を探すことになります。

この「一発勝負」の構造には、いくつかの課題が指摘されています。1つめは、当日の体調や緊張によって本来の実力が発揮できないリスクが高いこと。2つめは、「不合格になったら行き場がない」という心理的プレッシャーが受験生に過度なストレスを与えること。

認知心理学者のEccles・Wigfield(2002年、Annual Review of Psychology誌)は、人が課題に向かう意欲は「うまくいきそうだ」という期待と「取り組む価値がある」という価値の掛け合わせで決まると整理しています。一度きりの選択機会では、失敗したときの代わりがないぶん期待の側が下がりやすく、本来の力を出しにくい状況になりがちです。

なお、「選択のパラドックス」という概念はBarry Schwartz(2004年)が提唱したものであり、選択肢の増加が必ずしも満足度や意思決定の質を高めないことを示しています。これらの知見をそのまま日本の高校入試に当てはめるには慎重な検討が必要ですが、参考となる国際的な視点として押さえておきたいところです。

第三の課題として、第一志望に合格するかどうかわからない状況で「安全圏の高校を選ぶ」判断が横行し、結果として生徒の挑戦意欲が抑制される点も挙げられます。

複数校志願(同時出願)解禁の概要

検討されている制度改革の核心は、1人の受験生が複数の公立高校に同時出願できるようにする点です。東京都では2023〜2024年にかけてこの議論が本格化したとされており、2028年度入試からの導入が検討されています。ただし、本記事執筆時点では制度の確定情報を示す公式文書を直接確認できていないため、最新の審議状況は東京都教育委員会公式サイトでご確認ください。

具体的な仕組みとしては、第一志望・第二志望の順位をつけたうえで複数校に出願し、合否の判定を一定のルールで行う方式が想定されているとされています。ただし、詳細な運用ルール(出願可能校数の上限・合否判定の優先順位の扱いなど)は現時点で検討段階にあり、確定した制度設計は公式発表でご確認ください。

比較項目 現行制度(多くの都道府県) 改革後(検討中)
出願可能校数 原則1校 複数校(上限は検討中)
合否の仕組み 1校ごとに完結 志望順位をもとに調整(詳細検討中)
受験生の心理的負担 一発勝負による高ストレス セーフティネットとして機能する設計が想定されている
高校側の課題 定員割れの固定化 入学者数の予測が難しくなる可能性
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なぜ今、高校入試を変えるのか?

制度改革には必ず背景があります。2028年度という目標年が議論されるようになった理由は、少子化の加速と大学入試改革の動向という2つの大きな流れにあります。なぜ高校入試だけが「一本化」のまま取り残されているのか——この問いが改革議論の出発点です。

少子化と高校の定員割れ問題

文部科学省が公表する学校基本調査(令和5年度)によると、中学校卒業者数は長期的な減少傾向にあります。具体的な数値については文部科学省・学校基本調査(令和5年度)でご確認ください。地方を中心に、募集定員を下回る入学者しか集まらない公立高校が増加しており、学校の統廃合が各地で進んでいます。

定員割れ校数・統廃合件数の統計については文部科学省または各都道府県教育委員会の公表データをご参照ください。

定員割れが続く高校では、教育の多様性を維持することが難しくなります。一方、人気の高い高校には志願者が集中し、狭き門が続きます。この二極化が固定化すると、地域の教育機会の不均衡につながります。複数校出願を認めれば、受験生は第一志望の挑戦校と安全校を同時に選べます。その結果、特定校への志願者集中が緩和され、各校の定員充足率が改善されることが期待されています。

ただし、Mizala・Torche(2012年、International Journal of Educational Development誌)のチリの学校選択制度に関する研究が示すように、選択の自由化は情報格差・経済格差により高所得層が有利になる「階層化リスク」を伴う場合があります。

チリの事例では高所得層への恩恵集中という結果が示されており、日本での制度設計においても同様のリスクを考慮する必要があります。ただし、これはチリの文脈での研究であり、日本の入試制度にそのまま当てはめるには慎重な判断が必要です。

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大学入試改革との整合性という視点

大学入試の世界では、すでに複数校への出願が当然の前提となっています。国公立大学の場合、大学入学共通テストを経て前期・後期・中期日程で複数校に出願できます。私立大学では数十校に同時出願する受験生も珍しくありません。

高校入試だけが「1校のみ」という制約を維持していることは、大学入試の仕組みとの整合性の面で問題が指摘されてきました。高校段階から複数校への出願に慣れておくことで、大学受験時の戦略的な出願行動にもつながるという意見もあります。

文部科学省が推進する高大接続改革(高校教育・大学入試・大学教育を一体的に見直す政策)の文脈でも、入試の多様化・弾力化は継続的な政策課題となっています。最新の方針については文部科学省公式サイトで確認できます。

複数校出願が解禁されると何が変わる?

制度変更の影響は、受験生・保護者だけでなく、高校側・教育委員会にも及びます。メリットと懸念点を両面から整理します。

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受験生・保護者へのメリットと懸念点

受験生にとって最も大きな変化は、「チャレンジできる環境が整う」点です。現行制度では、不合格リスクを避けるために本来の実力より低い高校を選ぶ「安全志向」が生まれやすい構造です。複数校に出願できれば、第一志望に挑戦しながら第二志望でも合格を狙えます。

Bifulco・Ladd(2006年、Education Finance and Policy誌)がノースカロライナ州で行った調査では、学校を選べるようにしても生徒の学力の伸びが自動的に大きくなるわけではなく、転校の多さが学習の積み上げを妨げる面があると報告されています。選択肢が増えること自体が成績向上に直結するとは限らない以上、移行期の支援体制をどう整えるかが課題になります。

これらは米国の文脈での研究であり、日本の高校入試にそのまま当てはめるには慎重な検討が必要ですが、制度設計を考えるうえでの参考にはなります。

保護者の懸念点としては以下が挙げられます。

  • 情報収集の負担増加:複数校を比較・検討するために必要な情報量が増える
  • 出願戦略の複雑化:どの組み合わせで出願するかの判断が難しくなる
  • 合否通知の時期と進学準備:複数校の結果を待ちながら進学準備を進める必要がある

これらの懸念に対応するため、学校や塾が提供する進路指導の内容も変化していくことが見込まれます。制度が確定した段階では、より具体的な出願戦略(何校まで出願可能か、志望順位の記載方法など)を追記予定です。

高校側・教育委員会への影響

高校側にとって最大の変化は、入学者数の予測が難しくなる点です。現行制度では、出願者数から合格者数をほぼ正確に見積もれます。複数校出願が解禁されると、第一志望で合格した生徒が第二志望の入学手続きをしない「辞退」が発生します。

大学入試では「歩留まり率(入学手続き者÷合格者)」の管理が各大学の重要な業務となっています。高校入試でも同様の管理が必要になり、教育委員会・各高校の事務負担は増加する見込みです。また、人気校への志願者集中がさらに加速し、不人気校の定員割れが深刻化するリスクも否定できません。

教育委員会としては、合否判定のルールを公平かつ透明に設計することが求められます。志望順位の扱い方や、第二志望校への合否通知のタイミングなど、運用上の課題は多く残っています。

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都道府県ごとの対応状況はどう違う?

高校入試制度は都道府県ごとに異なります。複数校出願をめぐる議論の進み方にも、地域差があります。先行事例と現状を把握しておくことは、受験戦略を立てるうえで参考になります。

先行して複数校出願を認めている都道府県の事例

一部の都道府県では、すでに推薦入試や特色選抜の枠組みで複数校への出願を認めているとされています(具体的な都道府県名・制度名は各都道府県教育委員会の公式サイトでご確認ください)。また、前期・後期の2段階入試を設けることで、実質的に複数回の受験機会を確保している地域もあります。

東京都では2028年度からの複数校出願解禁に向けた検討が進んでいるとされており、その方向性が審議会で議論されています。東京都の動向は全国への波及効果が大きく、他の都道府県の教育委員会も注視しています。最新の審議状況は東京都教育委員会の公式サイトで確認できます。

私立高校との関係も重要です。私立高校はすでに複数校受験が一般的で、専願・併願という形で公立との組み合わせも広く行われています。公立高校での複数校出願解禁は、この私立・公立の受験戦略全体を再設計する契機になります。

一本化が続く地域で議論されていること

地方の多くの都道府県では、現時点でも公立高校の一般入試は原則1校出願を維持しています。これには理由があります。地方では受験生の絶対数が少なく、複数校出願を認めると辞退による欠員が生じた場合に補充が難しいという実態があります。

また、地域によっては公立高校の選択肢自体が限られており、「複数校出願」を認めても実質的に選べる学校が近隣に存在しないケースもあります。制度変更の恩恵を受けるのは主に都市部の受験生であり、地方の受験生には恩恵が届きにくいという格差の問題も議論されています。

各都道府県教育委員会の動向は、それぞれの公式サイトや審議会の議事録で確認できます。居住する都道府県の最新方針を把握しておくことが、具体的な受験対策の出発点となります。

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受験生は今から何を準備すればいい?

制度が変わっても、学力と内申点を伸ばすという基本は変わりません。ただ、複数校出願が解禁されると「どの組み合わせで出願するか」という戦略的な判断が新たに求められます。今できる準備の範囲を明確にしながら、着実に前進しましょう。

内申点・学力の両立がより重要になる理由

複数校出願が可能になると、受験生は「挑戦校」と「安全校」の組み合わせを考えます。その際、多くの高校で合否判定の基準となるのが内申点(調査書)と学力検査の両方です。

挑戦校に出願するためには学力検査で高得点が必要ですが、安全校への合格可能性を確保するためには内申点の安定も欠かせません。どちらか一方だけを伸ばす戦略は通用しにくくなります。日頃の授業への取り組み・定期テストの準備・提出物の管理が内申点に直結することは変わりません。加えて、入試本番に向けた実力養成も並行して進める必要があります。

中学1・2年生の段階から両方を意識した学習習慣を整えることが、2028年度以降の入試に対応する土台になります。

制度が確定していない現段階では、出願可能校数や志望順位の記載方法などの具体的なルールはまだ決まっていません。制度確定後には①出願校の組み合わせ方②志望順位の戦略的な設定③各校の入試傾向の分析方法、といった具体的な対策情報を追記予定です。まずは基礎学力と内申点の底上げに集中することが最も合理的な行動です。

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志望校の選び方と出願戦略の考え方

複数校出願が解禁された場合の出願戦略は、大学入試の考え方が参考になります。大学入試では志望校を「チャレンジ校・実力相応校・安全校」の3段階で整理し、どの組み合わせで出願するかを早めに検討するのが一般的です。高校入試でも同様の整理が有効になることが見込まれます。

Eccles・Wigfield(2002年)が提唱した期待価値理論(目標達成への期待と価値の掛け合わせで動機づけを説明する理論)に基づけば、複数出願の機会があっても、自分にはできるという手応えが乏しい状態では、選択肢の多さがかえって不安を大きくすることがあります。志望校を選ぶ際は、偏差値だけでなく「その高校で何を学びたいか」「校風が自分に合うか」という視点も大切にしてください。

  • オープンスクールへの参加:各高校の雰囲気を実際に確認し、第一志望・第二志望の優先順位を明確にする
  • 過去問の早期分析:複数校を受験する場合、それぞれの出題傾向を把握するための時間が必要になる
  • 都道府県の公式発表の追跡:制度の詳細は変更される可能性があるため、教育委員会の発表を定期的に確認する

集中して受験勉強に取り組む環境も、準備の質を左右します。自宅での学習が難しいと感じる場面では、図書館や自習室を活用する選択肢もあります。このブログを運営するアイデスク新宿自習室は24時間営業で、防音対応の半個室ブースと個別照明を備えており、集中して勉強したい方の選択肢の一つです(アイデスク新宿自習室の詳細はこちら)。

よくある質問

2028年度の高校入試制度改革とは?を表す統計グラフ

Q. 2028年度の複数校出願は全国で実施されますか?

A. 現時点では全国一律の実施が決まっているわけではありません。高校入試制度は都道府県ごとに管轄が異なります。東京都が2028年度からの導入を検討していることが報道されていますが、他の都道府県が同じタイムラインで追随するかどうかは、各教育委員会の判断次第です。

地方では受験生の絶対数の少なさや高校の選択肢の限られた数という事情もあり、都市部と地方で制度の普及速度に差が生じる可能性があります。居住する都道府県の教育委員会公式サイトで最新情報を必ずご確認ください。

Q. 複数校に出願した場合、第一志望と第二志望の合否はどう決まりますか?

A. 詳細な合否判定ルールは現在検討段階にあり、確定した制度設計は公表されていません。大学入試の仕組みを参考にすると、志望順位の高い学校から順に合否を判定し、第一志望に合格した場合は第二志望の判定を行わない方式が想定されますが、高校入試では定員規模が異なるため、同じ仕組みがそのまま適用されるとは限りません。

制度確定後には「辞退による欠員補充をどう行うか」「合否通知のタイミング」なども含め、公式発表をもとに最新情報をご確認ください。

なぜ今、高校入試を変えるのか?に関するニュース風景

Q. 複数校出願が解禁されると私立高校の受験戦略も変わりますか?

A. 変わる可能性があります。現在は「公立1校+私立複数校」という組み合わせが一般的ですが、公立で複数校出願できるようになると、私立高校の役割(安全校・滑り止めとしての位置づけ)が変化する可能性があります。私立高校側も募集戦略の見直しを迫られることが見込まれます。

また、公立と私立の合格発表のタイミング調整という新たな課題も生じうるため、制度全体の設計に注目が必要です。

Q. 内申点は今後も重視されますか?

A. 文部科学省が推進する高大接続改革(高校教育・大学入試・大学教育を一体的に見直す政策)の方向性を踏まえると、学力検査一辺倒ではなく、多面的・総合的な評価を重視する流れは続く見込みです。内申点(調査書)は引き続き合否判定の重要な要素であり、日常的な学習姿勢が評価に直結する点は変わりません。

複数校出願が解禁されても、内申点が低ければ安全校の確保さえ難しくなるため、日頃の授業態度・提出物・定期テストへの取り組みを疎かにしないことが大前提です。

Q. 現在中学1・2年生の場合、今から何をすべきですか?

A. 制度の詳細が確定するまでの間は、学力と内申点の両方を着実に伸ばすことに集中するのが合理的です。制度が変わっても「基礎学力の高さ」は出願戦略の幅を広げる土台になります。

具体的には①定期テストで安定した点数を取る習慣をつける、②苦手科目を早めに特定して対処する、③志望する高校のオープンスクールに中2から参加して情報収集を始める、という3点から取り組むことをお勧めします。あわせて、居住する都道府県の教育委員会の発表を定期的に確認し、制度変更の情報を早めにキャッチする習慣をつけておくとよいでしょう。

まとめ:制度変化を味方につけるための3つの準備ポイント

この記事で整理した3つの準備ポイントは以下のとおりです。①内申点と学力を両輪で伸ばし、出願戦略の選択肢を広げること、②居住する都道府県の教育委員会公式サイトを定期的に確認し、制度確定情報をいち早くキャッチすること、③「その高校で何を学びたいか」という軸で志望校を整理し、偏差値だけに依存しない選択眼を育てること。

——この3点は、制度の詳細が固まる前から動き出すことができる、今すぐ実践可能な行動です。

受験生にとってのメリットは挑戦の機会が広がる点ですが、情報収集の負担増加や出願戦略の複雑化という新たな課題も生まれます。都道府県ごとに対応状況が異なるため、自分が受験する地域の最新情報を公式ソースで確認することが出発点です。制度の詳細が固まる前から動き出した受験生ほど、選択肢を広く持てます。今できることは、基礎学力の底上げと日常の学習姿勢の見直しです。

※本記事の情報は2026年9月時点のものです。制度の詳細は変更される可能性があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
最終更新: 2026年9月15日

参考サイト

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